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入管の収容のひどい実態

  • 執筆者の写真: 笹本潤
    笹本潤
  • 2019年12月19日
  • 読了時間: 2分

出入国在留管理局は、日本にいる外国人がビザの手続きをしたりする他、ビザがなく強制退去の対象になった人たちを収容する施設でもある。私の依頼者である二人のフィリピン人女性が1年~2年の間入管に収容されていたが、この12月に入って仮放免(釈放)で外に出られることになった。


Aさんは、仮放免の期間延長が不許可になって1年以上収容されていた。息子が強制退去でフィリピンに帰らされて、やむなくAさんも抵抗をあきらめて今年12月末に帰国することにした。収容されている最中、頭痛、めまい、肩痛、高血圧など多くの症状が出てきた。入管内の病院は予約待ちで、時間も5分ほどで短く、検査も十分にしてくれなかった。


Bさんは、日本人の夫と二人の子が日本にいるので、帰国するわけにはいかない。無許可のフィリピンパブの営業に関与していたとして逮捕され、刑務所にも入れられたが、出所したと同時に入管に収容され、通算5年以上も身柄が拘束されていたことになる。今年に入ってからは、夫と子どものためにいつ出所できるかわからず、食欲がなくなり、体重も15キロも減った。11月にはそのため緊急入院し、瀕死の寸前に仮放免が許可された。


どちらの場合も、入管としては、収容者が自主的に帰国するまでギリギリに追い詰め、ギブアップして自主帰国を迫ることを意図している。しかし、そのために彼・彼女らは心身ともにボロボロにされ、長期間の無期限収容がなされたのだ。あまりにその実態がひどく自殺者も出て、メディアでも取り上げられた。このような流れが、今回の二人の仮放免につながった。


仮放免が実現したのはよかったが、入管の非人道的な政策を問うことは、訴訟を取り下げたことによりできなくなってしまった。(仮放免の不許可処分が違法だから取り消せという裁判だったので、仮放免により取り下げざるをえなかった。)私は複雑な心境だったが、依頼者の体調を最優先にするのは最低減の弁護士としての義務であろう。それにしても、まだ多くの収容者が入管に収容されている。人権後進国の日本を変えていく作業が私にはまだ残されている。




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